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「引退のない世界をつくる──Athdemyリブランディングの舞台裏」CEO 小谷 × CCO 中山
2025/04/29

「引退後」ではなく、「いまこの瞬間」をどう生きるか──。
Athdemyは、“挑戦の最中にあるアスリート”にこそ向き合う会社でありたいと考えてきた。その思いをより正しく伝えるために実施された、今回のリブランディング。言葉とデザインを再構築することで、見えてきたAthdemyの本質とは何だったのか。
CEO・小谷、CCO・中山の2人が語る、舞台裏のストーリー。
目次

1.“今この瞬間”のアスリートに向き合う──リブランディングの出発点
—— では、よろしくお願いします。まず最初に、リブランディングをしようと思った理由、またはリブランディングにかける想いについてお聞かせください。
小谷(CEO):
「アスリートが輝き続け、引退のない世界を創る」というビジョンを掲げて立ち上げたのがAthdemyです。現役選手を起点に事業を展開しているのですが、外から見たときに、その本質がうまく伝わっていないことに気づいたんです。
実際に会って話すと理解してもらえるんですが、第三者がWebサイトや記事を見たときには「セカンドキャリア支援をやっている会社なんだ」と捉えられてしまうことが多くて。
でも、僕たちが本当に向き合っているのは、“今まさに挑戦しているアスリート”たち。その価値や熱量を、もっとダイレクトに伝えられるようにしたい──そう思って、今回のリブランディングを決意しました。
—— リブランディングをすると聞いて、中山さんはどう思いましたか?
中山(CCO):
即答で「イエス」でした。おっしゃる通り、セカンドキャリア的なイメージを払拭したいというのもありますけど、それ以上に、アスリートってやっぱり単純に「かっこいい」じゃないですか。僕らがアスリートに憧れた理由も、結局そこにあると思うんです。
そんな「かっこいい」アスリートたちが関わる会社のアウトプットが、イケてないとかダサいっていうのは、やっぱり問題ですよね。僕らのサービスは抽象度が高くて、無形の商材だからこそ、表現がすごく難しい。だからこそ、きちんとデザインや言葉で伝えていく必要があると感じていました。

—— Athdemyにとって、デザインやビジュアルは大切ですか?
小谷:
すごく大切だと思います。理由としては、やっぱり僕が鎌倉インターナショナルFC(選手として所属)と、マネーフォワードの両方で過ごした経験が大きく影響しています。
どちらの組織も、デザインやブランディング、そして「デザイナー」という存在をとても大切にしている会社でした。一方で、まだ日本の企業の多くは、そういった「かっこよさ」や「デザインの本質的な価値」が十分に理解されていないと感じる場面が多くあります。
でも僕は、そういった環境の中で、デザインの価値やブランディングの重要性を身をもって理解することができました。だからこそ、会社をつくる上でも「ここは絶対に外せない」と思っていたんです。
中山:
そのあたりがしっかりしていないと、言葉でいくら丁寧に説明しても、初対面の印象で「信頼に値する会社かどうか」が伝わらないこともありますよね。

小谷:
まさにそうなんですよ。そもそも最初に信頼できそうだと思ってもらえるかどうかが、とても大きい。しかも、僕らのサービスはアスリートが対象なので、「この人たちに任せていいのか」という信頼感がめちゃくちゃ大事です。
中山:
第一印象で「なんかよくわからない」と思われた時点で、もうアウトになるケースって多いと思うんです。そういう意味でも、見た目の信頼感や表現も本当に重要ですよね。
小谷:
例えば「言葉」も、すごく重要で。僕たちは「言葉」や「対話」を軸に事業を展開しているからこそ、会社としてどんな言葉を選ぶのか、それがどういう意味を持っているのか──そこにはかなりこだわっています。
中山:
だからこそ、このタイミングで言葉をしっかり定義できたというのは、大きな意味があったと思います。
2.第三者とつくる、“伝わる”ブランド──vennnとの協働
—— そのような思いのもと、ブランディングファーム「vennn(ヴェン)」をパートナーに迎えてリブランディングを実施したと思います。どのような感想を持ちましたでしょうか?
中山:
スポーツのことを理解していて、人間的な部分も深く理解している──そんな人たちと一緒に、クリエイティブとして言葉やビジュアルに落とし込んでいく作業をしていることが、非常に大きいなと感じています。
そんなvennnと出会えて、一緒に創れているというのは“必然”に近い奇跡だとも思っています。

小谷:
僕もまさにそれを感じていて。vennnが出してくれた言葉やビジュアルを見たとき、「あ、こっちの方がいいな」と素直に思う瞬間が何度もありました。やっぱり僕らだけで考えていると、どうしても視野が狭くなったり、思考が偏ってしまうこともあるんですよね。だからこそ、「プロに任せること」の大切さを、改めて強く感じています。
中山:
本当にそう。自分たちだけでつくることの限界は確実にある。例えば自分たちの思想に寄りすぎてしまったり、言葉のチョイスが自社完結してしまうこともある。
だからこそ、vennnのように第三者的に関わってくれる存在がいて、客観的な視点を持ってアウトプットを整えてくれることが、本当にありがたいんですよ。それによって、僕らの「届けたい想い」が、より正しく伝わる形になっている実感があります。しかもそれが、かなりクオリティ高いんですよ、つい笑っちゃうくらい。本当に助かっていますね。

—— 今回のリブランディングでは、具体的にどんなことをやったんでしょうか?何を整理して、何を定義したんでしょう?
小谷:
まず最初にやったのは、「Athdemyとしてのコンセプト」を定義することでした。これはいわゆる“ブランドの土台”になる部分ですね。
その軸が定まったことで、「Athdemyとしてどんな言葉を使うか」や「どんなアウトプットを出していくか」といった部分が明確になり、発信にもブレがなくなったと感じています。その結果、社外に向けた発信もも、選手との対話も、自然とその“軸”を中心に考えるようになりました。この変化は、本当に大きな意味を持っていると思います。
—— 中山さんは、特に言葉へのこだわりが強いと思うんですが、そこは大事にしているんですか?
中山:
そうですね。僕たちは事業としてサービスを提供している立場なので、「サービス提供者としての視点」と「選手がそれをどう受け取るか」という両方の視点をすごく大事にしています。

いわゆる、僕らが「この言葉を使いたい」「これが適切だ」と感じてアウトプットしたとしても、それが選手に届かなければ全く意味がない。僕たちが意図した形で相手が受け取られなければ、やはり機能しないんですよ。
なので、例えば僕らは「メンタル」や「コーチング」などの言葉を使わないようにしています。なぜなら、その言葉を聞いたときに選手の中にある“辞書”から連想されるイメージが、そのまま入り込んでしまうから。であれば、必要に応じて新しい言葉を作ってしまった方がいいとも思っています。「この単語の方が、自分たちが伝えたい表現として正確であり、受け取り損ねもなさそうだよね」と。
3.Athdemyとは何か?──コンセプトと事業の全体像
—— Athdemyという会社はどんな思いで立ち上げられて、現在どんなことをやっているんでしょうか?
小谷:
一番の原点は、よく言われる「セカンドキャリア」という言葉への違和感でした。主語が大きすぎて、実態が見えにくいなと感じていたんです。それをうまく表現するのが難しいんですけど……。たとえば、セカンドキャリア支援をうたう取り組みの中には、「本当に選手のためを思っているのかな?」と感じることが少なくないんです。

だからこそ、Athdemyは「アスリートのための会社」でありたいと思って立ち上げました。自分自身もアスリートとしての経験があって、「アスリートがアスリートのためにつくった会社」として、競技の枠を超えて、その価値を社会的に高めていきたい。そんな想いから、Athdemyのサービスを形にしていきました。
—— 具体的に、いまAthdemyではどんなサービスを展開していますか?
小谷:
現在は「脳医科学」と「対話」を活用した独自のメソッド『Optimize Performance Dialog®︎』(OPD)を通じて、対話によってアスリートのパフォーマンスを最適化する取り組みを行っています。

—— 実際にアスリートとの対話を担当しているのは中山さんだと思うんですが、一般的にイメージされる「コーチング」や「メンタルトレーニング」とは違うんですか?それとも重なる部分もあるんでしょうか?
中山:
そうですね、どちらかというと「これはコーチングと違う」というより「それも含まれている」という表現が近いです。
ただ、違いで言えば「哲学」にあると思っています。僕らが最も大切にしているのは、アスリートとの関わり方そのものです。たとえば、サッカーでも「この理論やシステムが絶対」みたいな考え方って、僕はあまり信じていなくて。
そこに固執するよりも重要なのは、その時その瞬間に何が最善かを常に感じ取って、対応することだと。ましてや、僕たちの対象は「人」なので、人によっても、日によっても、その時によっても必要なアプローチは全て異なると思っています。

なので、僕らは「常時変容型」のスタイルでやっています。つまり、その瞬間その瞬間に必要な関わり方を、僕ら自身が瞬時に柔軟に変えていく。これまで世界各国の多くの方々がコーチング、カウンセリング、心理学など、様々な分野で蓄えられてきた人類の叡智を惜しみなく活かす。それが、僕たちの哲学の核にある考え方です。
—— そもそも「パフォーマンス」とは、どのようなものだと定義しているんでしょうか?
中山:
僕たちはパフォーマンスを「Rの2乗」で表現しています。これは「Readiness(準備)」と「Response(反応)」の二つの掛け算です。たとえば、日々の準備、つまりトレーニングや生活習慣の質や量、そして試合当日の反応や選択──この2つを分けて捉えるイメージですね。

具体的には、Readinessの領域において、パフォーマンスを支える三大要素があると考えています。それがTraining(トレーニング)、Nutrition(栄養)、Rest(休養)。
この「TNR」の質や量を、対話によってどう整えていくか。たとえば優先順位を決めたり、変化させたり、詳細は割愛しますがそういったことを日々選手と対話しながら取り組んでいます。
もう一つのResponseの方では、試合当日に向けて例えば「どんな思考が出そうか」「どんな瞬間に迷いそうか」みたいなことを事前に想定したりします。それを“思考のリハーサル”や“選択のリハーサル”として、前日に選手と一緒に確認し、仮説を立てておくんです。そして、試合後にはその仮説を検証し、振り返りまで一緒にやる。僕たちは、ある意味“参謀”的な存在としてそのプロセスに並走しています。

—— 第三者の存在があるからこそ、自分の状態を客観的に捉え直せるんですね。
中山:
そうなんです。人って、自分のことが見えなくなる瞬間があるし、状況によって次第に変わっていくものですよね。たとえば、監督から何か一言強めのフィードバックをもらったとしますよね。
そうすると、ついその言葉が頭に残って、思考が引っ張られる。そこから思考がスタートして、「では自分はどうするんだ?」と思考が進んだりしますが、本来はそれが目的に対して必要なことなのかも含めて冷静に考えたいですよね。
そこを客観的に見てくれる人がいるからこそ「本来の目的」に立ち返ったり、フィードバックを上手く取り入れて視野を広げることもできる。だから僕らは、状況に応じて思考順路を修正したり、拡張したり、逆に絞り込んだりする。そういった関わりを随時行っています。
—— 小谷さんは、そういった関わり方を最初からイメージしていたんですか?たとえば、中山さんと出会う前の段階では、どんな構想を持っていたのでしょうか?
小谷:
そうですね…中山が今話してくれたような関わり方や考え方は、僕自身もある程度イメージしていた部分ではありました。ただ、それを「誰が担うのか」というところが一番の課題だったんです。そんな中で最初に中山と出会えたことは、僕にとって本当に大きな転機でした。

さらに、そこから「より科学的にやっていこう」という方向に進み、脳医科学を活用している会社と事業連携できたことも、すごく意味のあることだったと思っています。
—— それが「B-navi」というツールなんですよね。どのようなものなんですか?
小谷:
B-naviは、脳医科学に基づいた80問の設問に回答することで、自分の思考特性や、現在のメンタル状況を数値化できる診断ツールです。
4.データと対話の融合──B-naviが支えるアプローチの質
—— それを導入すると、どのように活用できるんでしょうか?
小谷:
僕たちは、まずこのB-naviを選手に受けてもらい、その診断結果をもとに、「この選手にはこういう関わり方が効果的かもしれない」とか、「この選手のトレーニング方法は、こうアップデートしていった方が効果が出やすいのでは」といった仮説を立てることができます。
つまり、主観ではなく客観的なデータに基づいて、個々に最適化されたアプローチが構築できる。それが、B-naviを導入する一番の価値ですね。
—— 最初にB-naviで“可視化”された状態と、その後のセッションでの変化がズレることはありますか?たとえば、診断結果と実際の対話で見えてきたことが違った、みたいなことは。
中山:
大きく分けて2つのパターンがあります。
一つは、本人が「こう思ってる」と認識していたことと、診断結果との間にズレがあるケース。もう一つは、僕たちが選手と関わっていく中で、「結果の総論は合っているけど、細部がちょっと違うかもしれない」と感じるケース。
あと、少し話は逸れますが、対話を重ねていく中で思考が変化していくこともあります。現状の思考をもとに僕たちが関わっていくことで、普段あまり使っていなかった思考領域にも意識が向くようになってくる。それによって、その領域が“鍛えられていく”ということも起きます。
—— 現場でB-naviを導入している目的は、どんなところにあるのでしょうか?
中山:
主な意図としては、大きく分けて3つあります。
まず1つ目は「関係性の構築」です。結局一番大事なのは「関係性ができているかどうか」だと思っています。関係性さえしっかり築けていれば、極論どんな言い方でもしっかり受け取ってもらえますし、何でも話してくれます。だから最初に「相手がどんな人か」を理解することがすごく大事なんです。
B-naviを通じて、選手の思考特性や反応の傾向を事前に知ることで、「どう関わるか」の戦略が立てられる。つまり、最初の一手目がより良くなるという意味で、すごく有効なツールなんです。

2つ目は「機会損失の短縮」です。今までは、僕たちのような立場の人間が関わる中で、2〜3ヶ月ぐらいかけて徐々に「この選手はこういう傾向があるな」とか「こういう質問が苦手そうだな」などとアセスメントするんですよ。でもそれって、シンプルに時間がもったいない。
B-naviを最初に導入することで、その“観察のプロセス”を短縮できるんですよね。仮に2〜3ヶ月かかっていたところが、1〜2週間で見えてくる。これはすごく大きな意味があります。選手は1分1秒競争していますから。
3つ目は、僕たちが常に掲げている「常時変容型」スタイルの質をより高めるためです。このスタイルにおいて一番大事なのは、「引き出しの量」と「出すセンス」の掛け算だと思っています。引き出しの量は、勉強すればある程度増やせます。でも、「今これを出そう」という判断って、どうしても関わる人の感覚に依存してしまいますよね。
つまり、属人的になってしまう。だからこそ、できるだけデータを活用して精度の高い仮説を立てるということを大切にしています。B-naviのデータをもとに「このタイプの人にはこういう関わり方が合いそうだ」と予測を立てて、そこにセンスを掛け合わせてアプローチしていく。これが現場でB-naviを導入している大きな3つの意図ですね。
—— とはいえ、自分の思考が数値化されることに抵抗を感じるアスリートもいそうですよね。
中山:
おっしゃる通りで、「こんなもので自分を決めつけられてたまるか」と感じる選手もいると思います。だからこそ、僕たちはそれを「決めつけるためのもの」として使ってはいないんです。あくまで、最初のコミュニケーションの入り口として、その選手をより早く、深く理解するために使っている。それによって「どのくらいの時間をかけて信頼関係を築けるか」が変わってくる。
選手にとって、その方が結果的にメリットが大きいと思っているから活用しています。
「これで評価します」「ラベリングします」っていう話じゃない。それよりも「この選手の本質に少しでも早く近づきたい」という意図で使っているんです。

—— B-naviの使い方や考え方も「絶対視しない」というスタンスなんですね。
中山:
そうです。絶対視しないし、「診断結果に従えばうまくいく」なんてことも思っていません。そんなレシピがこの世にあればそもそも誰も困っていませんから(笑)あくまで“仮説精度を高めるための一つのツール”として位置づけているだけなんです。
—— B-naviのようなツールが進化して、データが蓄積されていくと、将来的にはもっと面白い展開が生まれそうですね。
小谷:
実際に、アスリートだけじゃなくて、ビジネスパーソンや若い世代の人たちにも使ってみたいという声が出てきています。
もちろん、それが本当にビジネス領域に展開していくかどうかはまだわかりません。ただ、アスリートのデータが蓄積されていくこと自体には、大きな価値があると思っていて。それをどう活かして、どんな社会的意義に繋げていけるか。そこに僕たちの次の挑戦があると思っています。
中山:
小谷の言う通りで、Athdemyのためじゃなくて、スポーツ界全体にとっても価値があることだと思います。特に重要なのは「日本人のデータを蓄積すること」だと感じています。
例えば今の応用心理学なども、ベースになっているのは基本的に欧米人のデータなんですよ。シンプルに研究資金力とインフラの集中などで。でも日本人って、身体の構造に限らず、思考や感性の部分でも特性が全然違うと思うんですよね。
だからこそ、日本で、日本人を対象にした研究や実践を深めていくことには、ものすごく価値があることだと思っています。

—— アスリートは多様な環境に身を置いているからこそ、データの蓄積にも幅が出そうですね。
小谷:
日本人の特性として、たとえば右脳二次元が優位な人が多いというような傾向があるとも言われています。そのような特徴を、外国人選手との比較を通じて検証していくのはすごく面白いアプローチだと思っています。
中山:
実際、アスリートという対象があるからこそ、そういう比較や研究がしやすいというのもあると思います。
たとえば、「日本にいる日本人選手」と「海外でプレーしている日本人選手」とでは、同じ日本人でもまた違った傾向が見えてくるかもしれない。そういう視点でデータを蓄積していけるのは、すごく価値があると思っています。
—— ビジネスパーソンにも応用できるという話が出ましたが、やはり人間の本質的な部分に向き合っているからこそ、応用範囲が広いんですね。
中山:
そう思います。僕たちはいろんなアスリートと関わってきましたけど、結局「人間」という意味ではビジネスパーソンも同じ。当人が持っている能力をどう発揮させるかという点では、パフォーマンスという言葉が共通して機能するんですよね。
5.Athdemyが目指す未来──1年後、5年後、そして10年後へ

—— ここからは、Athdemyの今後について伺いたいです。まず、1年後のビジョンについて教えてください。
小谷:
1年後というと、ちょうどこのリブランディングを終えて最初の1年になります。なのでまずは、「Athdemyはアスリートのための会社である」ということが第三者から見ても明確に伝わっている状態を目指します。
たとえば、パフォーマンスのことで悩んだときに「Athdemyに相談してみよう」とか、「あそこならちゃんと話を聞いてくれそうだな」と思ってもらえる状態。そういった“第一想起”を取れていることが、1年後の理想ですね。
中山:
現場でもすごく感じていますが、これまでアスリートは悩んだときに相談する相手が昔の同級生かチームの先輩くらいだと思うんですよね。ただ、それが果たして最適な相談相手か?というと、そうでもないケースが多いよなと。聞かれた側も、本人の経験則でしか話せませんからね。
だからこそ、選手が困ったときや挑戦の前に「まずAthdemyに話してみよう」と思えるような存在になること。それがある種の選手にとっての心の“お守り”みたいな存在になるといいなとも思っています。実際に、「ちょっと怖いチャレンジだけど、とりあえずやってみて、翌日中山さんに話せばいいや」、そう思ってトライできたと口にする選手もいますから。
—— では次に、5年後の中期的な展望をお聞きしたいです。
小谷:
5年後にはAthdemyの事業が大きく拡大している状態になっていると思います。今は「脳医科学×対話」をベースにアスリートのパフォーマンスにアプローチしていますが、そこからさらに幅を広げたいと考えています。
たとえば、選手のブランディング支援やメディア展開など、アスリートの可能性を社会とつなぐ方法は他にもたくさんある。そうした要素を掛け合わせることで、事業のポートフォリオを広げていく。今まさに、その第一歩を踏み出しているフェーズです。

中山:
僕はあまり遠くのビジョンを想像するのが得意ではないタイプなんですが……。でも今、小谷と一緒に組んでいる意味は、「事業を拡大していくときに、どれだけ多くのステークホルダーを巻き込んでいけるか」というところだと感じています。
それによって、アスリートにとって更に価値のあることが生み出せますし、、自分の現場と繋げる力を活かせる。そういう流れを続けていけるのが理想ですね。
それに、アスリートに限らず、領域を拡大していく可能性もあると思っています。たとえばスポーツ業界で「この会社はすごい」と認知されているということは、それは他業界からも注目されている状態だと思うんですよ。そう考えると、より広く一般に届けるためのメディア展開も重要になるだろうし、今後はそういった広がりにも期待しています。
—— 最後に、10年後についても聞かせてください。
小谷:
極端な話かもしれませんが、10年後にはAthdemyが“なくなっていてもいい”と思っているんです。
というのも、「Athdemyが提供していること」が世の中の“当たり前”になっていれば、“組織としての存在意義はもう果たされている”ということです。たとえば「セカンドキャリア支援」なんて言葉が使われなくなっていたり、「挑戦し続ける状態」が自然に維持できている社会になっていたら──Athdemyはその役目を終えているのかもしれません。
中山:
僕も同じように感じていています。また、10年というスパンがあれば、たとえば「日本代表がワールドカップで優勝する」というような未来だって実現し得ると思ってます。
小谷もそうですが、僕は以前海外に住んでいたこともあって、外から日本を見ることで改めて日本の良さに気づいた部分が多くて。外に目を向けがちな僕たち日本人だけど、実は日本って、世界から見ても「イケてる」部分がたくさんある。たとえばカルチャーや美意識、職人気質みたいなものも含めて。
だからこそ、世界中から「Athdemyから学びたい」と問い合わせが来るような状態になったら、すごく面白いと思うんです。日本人の凄さはなんなんだと。

小谷:
たとえば、昔で言えば“侍”や“禅”といった日本独自の存在が、世界で注目されてきたように「Athdemyのメソッドを取り入れたい」と世界から声がかかるような、日本発の知的機関になれたら面白いですよね。
中山:
そうなると、世界から見た時の日本という国のプレゼンスの向上につながると思うんです。それがスポーツを起点にできたら──それこそ、日本経済にも影響を与えられる可能性がある。小谷と以前話していた、「日本の閉塞感をアスリートの力で打破したい」という言葉がまさにこれですね。
小谷:
最近よく話しているのは、「Athdemyのロゴが日本代表のユニフォームに入っていたら最高だよね」という夢です(笑)。今はKIRINさんなどがパートナーですが、いつか「Athdemyがサポートする日本代表」という状態を実現したいと思ってます。
中山:
僕、一応JFA(日本サッカー協会)の卵でもあるんで笑(中山はJFAアカデミー出身)、やっぱり力になりたいという想いは強い。今はサッカーの話ばかりが出ていますけど、将来的にはオリンピックの公式パートナーになるとかね。
小谷:
アスリートのパフォーマンス、そして「人間の可能性」に向き合う領域において、Athdemyは世界に影響を与えるリーディングカンパニーを目指していきます。

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